タンペレから、ヴィーラットVirratへ。

 

 

 

 

 ここで5ヶ月お世話になります。

 今年は異常気象で例年よりラップランドに雪が少なく、ヘルシンキで“カオス”と言われパニックになるまでの大雪。

 ここVirratでも30年来の大雪でした。

 でも私は雪が大好き。

 

 

 

 ここでもー35度を越す日があったとか。でもたいていはもうちょっと温かい。

 

 

 

 

 ラップランドでもそうでしたが、気がつくと空がとんでもない色に染まっているのです。しかも変化が早いので、いい場所でいい景色を見ることは簡単ではありません。好奇心と、行動力が無いと、この国の美しいものはまったくつかまらないでしょう。

 この日はまだこの地に着いてすぐ。夕日を見るため、あわてて近道をしようとして腰まで雪に埋まりました。それでも突っ切りましたが。

 

 

 

  ここのご主人は、大きな窓から一日、全てを眺めて過ごされます。

そう、原野の只中、腰まで埋もれてあがく私の姿も・・・

 

 

 

 

 

 そうして雪に埋もれて過ごして部屋に帰ると、びっくりするくらい服や靴がきれいになっています。気温が低いので雪は体温くらいでは解けず、衣服の汚れを徹底的に洗浄してくれるのです。ぴかぴかです。

 だから雪でカーペットを洗ったりします。

 

 

 

 ここが新しい私のアトリエ。「ふざけるな!」でしょう。私が他人ならそう言って殴ります。約62m2・・私の日本のアパートよりでっかい。

 こりゃあ、いい絵、描かにゃあ・・

 

 

 

 これが住居部分。73m2。44畳 (シャワー・トイレは別。)

・・・HUGE!! 奥のほうにちっこく見える赤いのがベッド。

 私の理想としていたライフスタイル、LDK・1BOX。元家畜小屋をレストアした建屋をさらに増築。こちらではよくある形式です。建築、インテリア素材としては個人的に好みのものではありませんが、簡素で機能的な空間が理想的です。

 

 フィンランドでは築年数100年の木造建築など普通です。適当にレストアして皆さんうまく住み続けています。日本がいくら地震国だと言っても、建物の耐久年数が少なすぎます。壁はぺらぺらの張り合わせ、柱は安物の輸入材・・長く愛せる建物は人間以上に後世に文化を伝え続けることの出来る大切な存在だと思います。

 こちらに来ていろんな家に住ませていただきましたが、それぞれ、家が語りかけてくるような存在感がありました。

 

 私はもともと建築が好きでしたが、住居に関する意識が大きく変わりました。日本にいて「床は無垢材で・・壁は石で・・」など言われると、「まあなんと贅沢性な・・」と思ってしまっておりましたが、こちらでは無垢材が当たり前。それが一番安上がりで、頑丈で、何より、”質”が”本物”なわけです。

本物の質感に囲まれていて、その当たり前さに慣れてしまうと、まるで私が住んでいたアパートが”はりぼて”のように思えます。

 いや、一見美しく整っているのですが、真白い壁紙のベースには何があるのか、あきらかに自然でない素材の表面に施された”木目プリント”の床材がいったい何なのか、まるで素材が見えません。もちろん、建築の常識的な知識として、各素材名は知っています。しかし、自然の中では決して触れることの無い、そうした得体の知れない薄っぺらなものに囲まれて生活していることに気付かされます。これは決して”贅沢きどり”などではありません。自分の手からは生み出せないような安い新建築材ばかりに囲まれて生活していることが、異常なんです。壁をコンッ、とノックして、中まで芯の詰まった無垢の素材感を感じること、素材の普遍性を感じられること、そのことは我々の感性に深く通じていると思うようになりました。

 

 日本では、住むところを確保できると言うことはそれだけでかなり大きなことです。”家の中身”はどうであれ、リーズナブルで、表面上壁紙などで清潔に整えられていれば、それで満足するのが庶民のつつしみ。そこにやれ”素材感”だの”本物の質”を求めたりなどと言うことは、”一般人”の価値基準を超えたモノのようにみなされます。そういう人は大抵、協調性の無い成金趣味に行き着くか、またはヒステリックな現代デザインに走りがちです。

 「豊かになった日本、先進国ニッポン。」戦後の人々の努力によって飛躍的に経済成長を成し遂げたわが国ですが、こと、我々の文化的水準や感性としてみれば、いまだ私たちはきびしい生活のための”バラック暮らし”から逃れられてはいません。私の住んでいたアパートは、必要十分以上の”機能”のみを備えた、やたら高額な張りぼてです。そこでとりたてて疑問を感じず、平和に暮らしていました。みんなそうやって生活してるんだから、そういうもんだ、と。でもその住処に末永く住み続けたい、とか、地域を大切にしたい、という思いは重ねられませんでした。あくまで、「いつかは住み捨てる」仮住まいに過ぎませんでした。

 ささやかでも、わたしたちの風土に合った、文化的な”家”を素朴に愛し続ける生活が出来ないものか、と思います。つつましく簡潔で、頑丈で、地域性を生かした、時代に流されない暮らしの場。

 林業と大工さん、町の景観、地域の人の暮らしがつながりあった、身の丈に合った”ごく普通で、本物の質を持った家”。それが成り立った上で、斬新なデザインとか、素材面での最新技術とか、が融合してくれば、きっと、今の日本の生活面での文化も一つ、地に足が付いてくるのではないかと思います。そうしたリッチ、プアとは違う質的な面での住環境の違いは、じわじわと国全体の文化的価値観の差異につながってくると思います。

  

 

 

 

 ご主人さんの(ほとんどフィンランドのお父さん。)母屋。築年数80年。頑丈で、落ち着きがあります。美しい住まい方をなさってます。  

 

 近くに彼の生まれた家がありそれも築100年をゆうに超えます。子や、孫が家族状況に応じリノベーションしながら住み続けています。外壁は木の板材。屋根は様々ですが、場合によってはアスファルトルーフィングだったり簡単なもの。定期的なメンテナンスは当然としても良くそれだけ持つものだと驚いてしまいます。

 

 

 

夜の顔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「満天の星空」は、意外と見れません。空がかわいて澄み切った日は少ないのです。

 でも、たまにあらわれる星空はなんと美しいことでしょう。

 

 凍った湖の真ん中で撮影をしていたとき、途中で機材をほっぽり出して大の字に氷上に寝てみました。闇の中に浮き上がっている感じがしました。まるで逆に自分が高いところから深い水底を見下ろしているようでもありました。

 またそんな思い込みをしようとている自分に気づきながらも、ますます深みに浸ってゆくのでした。

 

 湖面の割れる音、響き。森の中のかすかな気配、生き物の鳴き声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神秘的なもの、想像の世界は人から教わるものではありません。

ただ、そこにいて、感じるだけで十分。 そんな環境さえそこにあるなら。

 

 

 

 スタジオの大きいガラスは4重ガラス。断熱ガス入り。

 

 

 

 雪の夜の散歩は、最高。

 

 

 

 カニ (うさぎ)のあしあと。

時々、真っ青な満月の雪面に、走り去るウサギを見ることがあります。

 無音の広い雪原に、駆けてゆくたったひとつの生き物の姿。

 静寂の幻想的な世界です。

 

 

 

 

 

 

 だーれもいない、夜の森。

 母屋のご主人夫妻と私たち夫婦だけ。

 みんな、物音ひとつない冬の夜の深さを感じながら、眠りにつきます。

 

 

 「きっと私たちは無数の生物たちの気配に囲まれているに違いない。」

 

   

 

 

 夜の湖面から見る、私たちの家。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、またこんな不思議な色を出してくる。

 予測の立たない日常の光との出会い。一期一会。

 

 

 

 そしてすぐに去ってしまいます。

 

 

Tusen takk for dear friends, ありがとうM.Aさん!!

2017、あたらしいBLOG書き込もうと一念発起!! 今年のノルウェー個展は個人的には特別な機会となります。これからぼちぼちかきますのでBLOG2017のコーナーを御覧下さい!

 

 

 

2015 7~9月、はしばらく休めていたノルウェーでの個展企画など美術活動を展開中です。ムンクの研究はわたしの生涯のものですが、現在はなにより、ノルウェー高地の森林限界地域の自然環境の取材を行っております。予期せず決死の活動になってしまっておりますが…冗談抜きに死ぬところでした…  詳しくはBLOGのJotunheimenの項目を御覧下さい!!

 

 

 

2014 7~8月、今年のフィンランドでの美術活動を終え、日本にかえって来ました。 全長8mの巨大な絵画を描き上げてきました。 詳しくは後日BLOGで!!

2010-2011 Works in Finland Virrat16,17がいまさら完成しました。よろしければ御覧ください。

                               

 2011年、北欧ラップランドでの写真展を終え、フィンランド内陸部の湖畔の美しい村で、制作と展覧会、また、国際的なアーティストたちとの刺激的なワークショップを終えました。

 現在は、憧れであった、ノルウェーのハルダンゲフィヨルドに面するオールヴィクで、なぜか楽しいオランダ作家たちと、興奮に満ちた日々を過ごしております???

 『厳しい冬を知らずして、北欧の美術は語れない』との思いで、氷との格闘からスタートした私の留学でしたが、春には現地の誰より薄着になれるほどタフになりました。

 冬から春、夏へと急激に変化する北欧の気候には、ただただ圧倒されるばかりです。 

 すっかり報告が伸ばし伸ばしになっておりますが、私の体験していることを少しずつご紹介いたします。